【東京 「歌舞伎を通訳ガイドしよう」専門性研修


開催日:   2017年12月10日(日)

 
場所:世田谷文化生活情報センター(東京・三軒茶屋キャロットタワー内)
講師:ロナルド・カヴァイエ氏、二村幸雄氏、金子美樹(コーディネーター)









 
2017年12月10日(日)、「歌舞伎を通訳ガイドしよう」専門性研修が東京・三軒茶屋 キャロットタワー内の世田谷文化生活情報センターで開催されました。講師は前半をイヤホンガイド、字幕ガイドで御馴染みのロナルド・カヴァイエさん、後半は雅屋の二村幸雄さんが担当しました。コーディネーターは金子美樹さんです。第1部はロナルド・カヴァイエ氏による講演、はじめにイヤホンガイドと字幕ガイドについて、2つめは解説と台詞翻訳について、仮名手本忠臣蔵五段目、助六、三人吉三の映像を見ながら解説していただきました。さらに、歌舞伎の特徴や西洋オペラとの違いについてお話していただきました。その後、モデルガイディングとして芹田啓子理事と私、城戸弘明が3分間スピーチを披露しました。カヴァイエさんからも貴重なコメントをいただきました。
休憩をはさんで、雅屋の二村幸雄氏による講演が始まりました。テンポの良いBGMに合わせ、化粧、女形の所作、台詞回しについて解説していただきました。そして、化粧の実演を行いました。モデルは私、城戸弘明が務めました。赤い隈取で歌舞伎のヒーロー役を体験させていただきました。最後は参加者による実習でロールプレイ形式の研修を行いました。4時間という長丁場の研修でしたが大変面白く楽しい研修でした。 このような素晴らしい企画を実現して下さった皆様に大変感謝しております。ありがとうございました。

最後に、GICSSメールにも送らせていただいた、化粧体験についての感想を掲載させていただきます。

先日、歌舞伎研修で隈取りのモデルをさせていただいた城戸です。 いつも観ている歌舞伎役者のお化粧を実際に体験することができ、本当に夢のような時間でした。

初めに、顔全体に鬢付け油をすり込んでいきましたが、そのロウソクのにおいの強さにまず驚きました。痛さは感じませんでしたが勢いよくすり込むので、摩擦の熱でまるでサウナに入ったかのように顔中が火照っていました。眉毛を消し込むということで、途中、本当に眉毛が消えてしまうのではと内心ドキドキしていました。

化粧の時は目をつり上げるように頭にバンドをしていました。普段の生活で目をつり上げることはあまりないので、細目になっていくのが自分でもよくわかりました。歌舞伎には、見得でにらみをきかせる場面がありますが、目を大きく見開くあのしぐさは、顔中の筋肉をくまなく使っているのだなと改めて感じました。

おしろいは、逆にその冷たさが印象に残りました。火照った顔に素早くおしろいを塗ると、顔中が引き締まってきました。きっと、舞台への心の準備がこの段階でできてくるのだろうと想像しました。目の周りや頬にドーランを塗る頃には顔の火照りもすっかり落ち着き、化粧で使うパレットを眺めながら、色の調合の豊かさに感心していました。

化粧が終わり、自分の顔をしばらく見入っていました。まさに歌舞伎役者の顔つきでした。普段舞台で緊張することはありませんが、この日はさらに、会場全体を俯瞰して見渡せる落ち着きを得たように思いました。化粧ひとつで新たな気持ちが芽生えるのも歌舞伎の魅力かもしれません。

化粧を落とすのは実はとても勇気がいりました。私にはおしろいやドーランを落とした経験がないのです。研修終了後、化粧室でクリームを手に馴染ませながら化粧を落としてみました。一回では落ちず、何回か繰り返していくうちにだんだんと素の自分に戻っていきました。目の周りは黒がなかなか落とせず、家に帰ってどうにか、きれいにすることができました。

歌舞伎役者は公演中毎日、違う演目のときはその都度、化粧をすることに改めてすごいなぁと感心しました。舞台を観るときにはきっと、化粧をじっと見つめているような気がします。

<記事:城戸弘明>
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